学校概要 |
「現代の志塾」、これが多摩大学の存立の意味を示す言葉である。明治近代化以来、多くの個性を持った大学が創り出され、歴史を重ねてきた。大学が果たす機能も、「教育の場」であり「研究の場」でもあり、役割期待も重層的になってきた。その中で、多摩大学は創立の原点に立ち「人間を育てる教育の場」としての大学を徹底して探求していきたい。つまり、教員を中心とする研究の場であるよりも、一業を成したいと志す人間の基盤能力を育てる場であることを目指したい。時代環境に対して受身で生きるのではなく、自分のテーマを発掘して挑戦しようとする学生を鍛える場であることを志したいということである。
多摩大学の創立以来の歴史は、世界史的に言えば「冷戦後」といわれる時代であった。一九八九年にベルリンの壁が崩れ、一九九一年には東西冷戦において「東側」の中心にいたソ連邦が崩壊した。「イデオロギーの対立」の時代が終わり、世界は「グローバル化」といわれる時代を駆け抜けてきた。私自身はこの間、ビジネスとシンクタンク活動の現場で、時代環境の変化と向き合い、突きつけられる課題に挑戦してきた。
そうした時代が新たらしい次元の問題を露呈させ、「百年に一度の経済危機」などといわれる状況に直面している今、新たな世界秩序とその中での日本の役割を模索せざるをえない局面にある。経済活動の現場も教育の現場も、新しい時代の課題に果敢に挑戦する人間を求めているのだ。
こうした時代の「一隅を照らし」、次なる時代を支える人間を育てることこそが大学の使命であり、そのためには大学での生活を通じて、地政学的「知」と人間としての「心」、高度情報社会を生きる「技」を磨く機会を提供することが大切なのである。「外は広く、内は深い」、そのことに気付いたならば、人生は少しずつ充実した方向に向かうと確信する。
(大学ホームページ「学長挨拶」をご紹介)
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