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化学で学ぶこと

2011年現在、天然には水素からウランまで92種類の元素があり、人工的に作ったものを含めると118の元素があることがわかっています。元素とは原子の種類のことですが、原子が組み合わさってさまざまな分子が作られ、分子が集まって目に見える物質が作られています。
この原子や分子の構造や性質、変化、反応の仕組みを明らかにするのが化学で、私たちは、あるときは自然界の物質の中から特定の原子や分子を抽出して利用し、あるときはその原子や分子を反応させて、自然界にはない新しい物質を作って活用してきました。
化学繊維も、鉄やアルミニウム、プラスチックなどの材料も、灯油・ガソリン・重油といった燃料も、病気を治すさまざまな医薬品も、全て化学の発展により生まれたものです。
大学では、高校までの化学で学習した、原子や分子の性質や反応、分析の手法や、化学合成法、化学反応を促進させる触媒についてさらに詳しく学び、学年が上がり大学院に進むにつれて、新しい性質、分析手法、合成法、触媒反応の発見・開発や、これまでにない性質をもつ新しい物質の合成などの開発を目指すことになります。
化学の先端研究を挙げると、たとえば水素と酸素の化学反応を電気エネルギーに変える燃料電池が実用化して普及すれば、エコカーに使われるなどして、地球温暖化物質である二酸化炭素の排出が抑制され、地球環境問題解決に貢献することができます。また、炭素でできた、直径数ナノメートルから数十ナノメートルのチューブ構造をもつ「カーボンナノチューブ」という分子が発見され、この非常に細い管は、ナノテクノロジーの分野でさまざまに応用されています。光が当たると特定の化学反応を促進する「光触媒」と呼ばれる物質の発見からは、その物質を使って有害物質や汚れを分解するなどの応用が考えられ、実用化されています。
新しい物質を合成したり新しい反応を発見したりするだけでなく、物質の分析法や質量を計る方法の開発も、化学の重要なテーマです。たとえば田中耕一博士は、分子量が大きいために、どんな構造をとっているのか調べるのが難しかった生体高分子(蛋白質)の構造を解析する手法の開発で、ノーベル化学賞を受賞しました。この研究は病気の原因解明や治療法の研究に役立つかもしれないと期待されています。なおノーベル化学賞については、2008年に下村脩博士が緑色蛍光タンパク質(GFP)の発見と生命科学への貢献で、2010年には鈴木章博士と根岸英一博士が化学反応の合成法であるクロスカップリングの開発によって受賞しています。
化学は、「生活が便利になる」という理由で自然界にない物質を次々に創り出し、それが環境ホルモンなどの問題を生んできた側面もあります。しかしそれを解決し、未来の社会を支える新しい機能をもった物質を生み出すのもまた、化学なのです。

学部・学科選びのヒント

大学で化学を学びたい場合は、理学部の化学関係の学科のほか、応用に力を入れた応用化学関係の学科、化学工学関係の学科、材料工学関係の学科も調べてみましょう。また、化学の研究対象である分子は原子でできており、物理の法則に支配されていますし、分子は物理的な構造をもっています。いっぽう生物の身体も分子でできており、体内では化学反応が起こっています。つまり物理、化学、生物という分野は学習や研究の便宜上分けられたものにすぎず、自然界や生物の体内ではそれらの現象が同時に起こっているというわけです。そこで近年は、物理と化学の両方を学ぶ、あるいは化学の生物の両方を学ぶ学科や専攻、コースも生まれています。

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