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核融合・原子力工学工学

核融合・原子力工学

核融合・原子力工学で学ぶこと

核融合・原子力工学とは、原子の力を利用したエネルギー発生システムと、そのための装置(炉)について研究する学問です。石油資源の枯渇が心配され、また石油が燃焼すると地球温暖化の原因物質である二酸化炭素を発生することから、石油に代わる新エネルギーの開発が急がれています。
そのひとつが核融合によるエネルギーと、すでに原子力発電として実用化されている核分裂によるエネルギーの利用です。核融合が水素という軽い元素の核を融合させ、ヘリウムと中性子になるときに出るエネルギーを利用するのに対し、核分裂では逆に、ウランやプルトニウムという重い元素の核を分裂させて、そのときに出るエネルギーを利用します。
太陽をはじめとする空で輝く恒星のエネルギーは、核融合によって生まれています。核融合炉は、いわば地球上に小さな太陽をつくろうとするもので、現在アメリカ、EU、ロシア、日本など国際的な核融合実験炉の建設が計画されています。核融合によるエネルギー生産が実現すれば、原料となる水素は海中に大量にあることなどから、現在のエネルギー問題を解決するものとして期待されています。しかし実現には数々の課題をクリアしなければなりません。
まず核融合反応を起すには、原料となる水素原子を1億度以上の高い温度で閉じこめなければなりません。1億度のものを閉じこめておけるような材料はないため、どうやって閉じこめておくかが大きな研究課題となっています。現在主に、磁場でかごを作って閉じこめる方法(磁場閉じこめ)と、四方八方からレーザーを照射して、慣性の法則によって高温の燃料が飛び散る前に、瞬間的に核融合反応を引き起こす方法(慣性閉じこめ)が研究されています。
ほかに、核融合によって生まれた中性子が、核融合炉の材料を放射化してしまうのを防ぐ材料の開発、磁場閉じこめの際に磁場を作るのに必要な超大型超電導マグネットの開発など、さまざまな研究テーマがあります。
一方、核分裂を利用した原子力発電がすでに実用化されているのはご存知の通りです。ウランやプルトニウムの原子核に中性子を高速で衝突させると、その中性子が吸収されることで原子核が2つか3つに割れ、割れたことにより今度は余分な中性子が放出されます。このときに発生するエネルギーが原子力エネルギーです。この際、人を含む生物に甚大な被害を与える放射線を発するため、放射線をどう制御し管理するかが、人為的なミスの防止も含めての最重要課題です。
放射線の危険については、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震にともなう福島第一原子力発電所の深刻な事故によって現実の問題となり、私たちの健康や生活を脅かし続けています。事故をきっかけに原子力発電の是非については日本だけでなく世界で改めて議論され、脱原発の動きも進んでいます。
しかし、だからといって原子力に関する研究が今後不要になったわけではありません。たとえば2010年には日本の電力の30%程度が原子力発電によってまかなわれていたことからわかるように、原子力発電に代わる有用なエネルギーが開発されるまでに、原子力発電をどう扱うか、原子力発電を続けるならより安全に運用するためにはどうすればいいかを研究する必要があります。また、事故により飛散した放射線の人体等に対する影響のさらなる研究も急務です。廃炉や放射性廃棄物処理法の研究も急がれます。
そして、放射線は危険なだけでなく、ガンの治療や画像診断など医療現場、宇宙空間などで使う材料の解析、農作物の品種改良にと、さまざまな場面で活用されています。
このように、脱原発か否かに関わらず、原子力工学は今後の私たちにとって重要な学問分野であることに変わりはありません。

学部・学科選びのヒント

核融合・原子力工学は、大学では理学部物理学科や工学部に進み、大学院になってから専門的に学ぶことになりますが、学部から学びたい場合は、工学系の学部、学科の中で「量子」「エネルギー」「原子核」「原子力」といった名称のつくコースを調べてみましょう。

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