(1914〜1997)
創立者の田澤康三郎先生は、敗戦当時、恩師岸本英夫先生(東京大学文学部宗教学研究室)に「敗戦の真の苦悩は30年先にやってくる。日本の真の独立は30年先にやってくる」と教えられました。そして、その時のために「青年教育塾を開設したい」との強い願いを持って、昭和21年、故郷青森へ帰ってきました。当時、道路もなかったこの地で、父親(宗教法人松緑神道大和山教祖)の手伝いをしながら、未来の青年教育塾に思いを馳せ、準備をされたのです。
9年後の昭和30年、松風塾高等学校の前身である生活学苑大和山松風塾が開塾されました。わずか6名の塾生でのスタートでした。
宗教教育を人格形成の基幹とし、「全寮制生活における『共食・共働・共遊・共学』によって、青年は自主性と協調性が体得される」との信念から、塾生は、日中は農林作業に汗を流し、夜は勉学に勤しみ、寮生活を通して共に生きることを学びました。
以来、19年続いた塾教育は、昭和49年、全日制普通科高校として生まれ変わりましたが、田澤先生の『高等学校における最大の意義は、自分の生き方を自分で考え出す時期にある青年たちの、修学の場であるところにある。大学入試の予備校や準備段階としての高等学校ではなく、これからの人生を思案する道場として高等学校を考えると、学科の勉強がそのまま品性を陶冶することにも通じなくてはならないし、学力が実践の原動力になるよう指導されなくてはならない。』(『教育共同体としての松風塾高等学校』より抜粋)との考えから、松風塾高等学校は、塾教育の伝統を受け継ぎ、宗教教育を根幹とする人格形成と少人数教育による学力向上、全寮制による生活力育成を目的とした教育を行っています。
高潔な思想とたくましい生活力を兼ね備え、日本をそして社会を支える柱となり、清潔な生き方で周囲の人々の心を清めていく地の塩となる青年を育てる。これを具現化するために、本校では「自らムチを打ち、自ら努め励む」ことを生活の信条としています。
1.宗教情操豊かで、愛国心旺盛な国民の育成。
2.博文審問の精神を尊び、思考力豊かな国民の育成。
3.身体強健で、勤労意欲の旺盛な国民の育成。
校長
松風塾高等学校は、青森県平内町にある全寮制、普通科の高等学校です。四季折々の自然が美しい地に学び舎があります。
本校の建学の精神は、「国柱地塩」「自策自励」という言葉で言い表すことができます。この理念を具体化するため「紳士・淑女」の育成を掲げ、守るべき5つの心得(「静修」「清潔」「礼節」「和顔」「誠実」)を定めています。
今年度は、その中の1つである「礼節」に特に重点を置き、「礼節日本一」の学校とするために、心のこもった明るい挨拶を心がけ、現在、生徒も教職員も一丸となって取り組んでいます。
全寮制と聞くと、親元を離れての高校生活に不安を覚えるかもしれませんが、教職員全員が親身に指導しますので心配はいりません。全国各地から集まって仲間との共同生活では、基本的な生活習慣と社会で求められているコミュニケーションを身につけることができます。そして3年間、苦楽を共にすることによって強い絆が築かれ、生涯の友を得ることもできます。
学習指導においては、習熟度に応じて「2つのコース」を設け、少人数制授業で「わかるまで」を目標に徹底して学力を伸ばします。松風塾高等学校は、小規模な学校ですが、学力を伸ばすだけでなく、世のため人のために役に立ちたいという高い志を持った青年を育てる学校です。
松風塾高校では、「総合的な学習の時間」を設け、その中で様々なテーマで、人生観、世界観を育むための教育をします。各界の著名人による講演会もこの時間を利用します。テーマの一例ですが、内村鑑三の「後世への最大遺物」をテキストに人生観を学ぶ、「日本の伝統文化における皇室の存在」などです。また講演会では、馬渕睦夫氏(元駐元ウクライナ大使)、小野善一郎氏(古事記の会・湯島天満宮権禰宜)はじめ、各界の一流の方の講演を聴きます。
日曜日以外の朝夕、教団本部において行なわれる礼拝に参加します。見えざるものを見えるものよりも畏れ、崇める心を養うことを目的としています。また、教団諸行事に参加することもあります。毎月18日は「世界平和祈願日」としており、この日は世界各地で飢餓に苦しむ人々、戦乱で苦しむ人々に思いを寄せ、朝の一食を抜いて平和を祈ります。
松風塾高等学校は、青い森鉄道小湊駅から車で15分ほどの山あいにある松緑神道大和山本部境内に隣接しています。美しい山々、清らかな川、澄んだ空気、そしてまた、晴れた日の夜には満天の星空が見られるすばらしい自然環境の中にあります。平成7年には、林野庁の「水源の森100選」にも選定されました。学校田もあり、田植えや稲刈りも自分たちで行います。あなたもここで、季節の移り変わりを直接肌で感じながら、じっくり自分の精神力を鍛え、生きる力を養ってみませんか。