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フィンランドの次はキューバか、しかも言うに事欠いて開発途上の社会主義国とは――。書名を見て、こう顔をしかめる人もいるかもしれない。しかし、かけ離れた国の実態から写した方が、かえって日本の状況もよく見えてくる。
国際的な学力調査の代表である「生徒の学習到達度調査」(PISA)は、経済協力開発機構(OECD)が実施するものであり、あくまで先進国用に開発されたテストだ。当然、途上国は対象外となる。一方キューバは、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が実施する中南米の国際統一テストで抜きん出た成績を上げている。しかも平均点のみならず、最低点も他国を上回り、都市と農村などの地域間格差もほとんどなかった。結果に驚いたユネスコも、フィンランドと並ぶ教育モデルとして推奨しているという。
学校の校舎のほとんどは、キューバ革命(1959年)前の大富豪の邸宅などを転用した老朽施設。しかし全教室にテレビやビデオ、コンピューターが整備され、1クラスの人数は小学校が20人、思春期を迎える中学校はそれより少ない15人。植民地時代の伝統で小学校から競争や落第があるが、大学の社会人学生に至るまで勉強は一人で行わずグループで助け合うから、落ちこぼれはほとんどいない。
キューバ寄りとの批判があることは、著者も十分認識している。しかし、90年代の米国による経済封鎖にもかかわらず国内総生産(GDP)の10%以上を教育に割いたキューバと、5%を下回ってOECD加盟国でも最低の日本と、どちらが「豊か」なのか。それでも引用されるように、日本の教育実践との共通点もまた少なくない。イデオロギーはさておき、創造的に本書を読めば、かの国から学ぶべきことは多いはずだ。
著者
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吉田 太郎
書評
│渡辺 敦司
KS読者対象
│教師 保護者 高校生以上
出版社
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築地書館
2008年
価格
│2,520 円 (税込)
KSカテゴリー
│教育学
レビュー掲載
│2008年11月
※ここでのカテゴリー設定は「日本の大学」学問系統に準拠しています。価格はレビュー掲載時のものです
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